TOHOKU ROKU6 プロジェクト
ROKU FARMのグラウンドデザインを手掛けました

2011年5月。
被災地に一刻も早く復興の旗印になるような施設を建てたい。
震災直後の現地支援活動を通じて知り合った仲間達「東北6プロジェクト」の熱い想いが形になりました。



未曾有の大震災を経験した、東北の地に建てるべき商業施設とはどういったものなのか?
彼らと数ヶ月に渡って練り上げたコンセプトが「90年後への君へ」でした。

竣工時が完成ではない施設。
竣工後にそこで働く人々、訪れる人々、さらには近隣の人々によって作られ続ける施設。
伸び代のある施設。
そんなコンセプトを基にREBIRTH PROJECTはグラウンドデザイン/基本設計を行いました。





これらの観念的なコンセプトを持った建築に落とし込む過程で、「災害に強い商業施設」「有事には粉と水と薪を備蓄して10日間は近隣の人々に食料が提供可能な防災機能」「被災地の6次化産業のモデル」などの多くのキーワードが生まれてきました。
一方で建材、人手不足という被災地の悪条件のなかで何度も設計変更がなされました。
しかし、それでも「東北6プロジェクト」は決して信念を曲げることは無く、民間資金のみでこの施設を完成させました。

初めてこの事業構想について説明を受けてから施設オープンまで2年と数ヶ月、私たちは被災した仲間が自分たちで立ち上がろうとする姿を目の当たりにしてきました。そして私たちもそれに負けないよう根気よく取り組んできました。









こうして出来上がったのが、2013年夏にグランドオープンを迎えた環境・福祉・防災を兼ね備えた新しい商業施設「ロクファームATALATA」です。
東北6プロジェクトが本来掲げる6次産業化を通じた地域の再生というコンセプトに基づき、畑や農産物の加工工場も兼ね備えた施設となっています。





さらにREIRTH PROJECTでは当初のコンセプトである「90年後への君へ」を目に見える形で残そうと元気玉プロジェクト(クラウドファンディング)を使ってタイムカプセルを作成しました。

未来を照らす灯台をモチーフにしたタイムカプセル設置の日には、 近隣の保育園から集まってくださった親子の皆さんに「成人した君へ」と「90年後の君へ」という2通の手紙を書いていただきました。
親から子への、子どもたちが成人した時に読んでもらう手紙と、子どもたちが90年後の自分たちが責任ある未来へ向かって生きていく決意を記した手紙です。





将来的には、この「ロクファームATALATA」にはハーブ園が広がり、私たちが植樹した木にはやがてツリーハウスが架けられる予定です。
それがいつのことなのか。私たちにもハッキリ分かりません。
しかし、訪れるたびに少しずつ成長していくこの建築を目にすると、私たちは大変嬉しく誇らしく思うのです。




■ information
ロクファームATALATA www.atalata.com
東北ロクプロジェクト touhoku6pro.jimdo.com
元気玉プロジェクトタイムカプセル製作  shootingstar.jp/projects/246

 

■ member

プロジェクトディレクター:村松一
基本設計:村松一
内装/家具デザイン:上野卓史